― 静かに感じる人の、心呼吸する哲学 ―
第12章:静けさを持って、世界へ還る
この文章の裏付けになる内容などを「心呼吸翻訳ノート」にまとめています。
Ⅰ. 呼吸を持って、世界へ
静けさの中心で、
ひとつの呼吸が生まれた。
言葉にならない領域に、
本当の自分がいることを知った。
でも、そこに留まることはできない。
僕たちは、世界に生きている。
日常がある。
仕事がある。
人がいる。
その世界から離れて、
静けさの中に逃げ込むことはできる。
でも、それは生きることではない。
だから、還る。
静けさを持って、
世界へ還る。
深く吸った呼吸を持って、
日常へ還る。
その呼吸が、あなたを守る。
Ⅱ. Beingのまま、Doingする
第11章で、僕たちはBeingに触れた。
ただ在ること。
何もしなくても、在ること。
でも、世界は、Doingを求める。
DoingとBeingは、対立しない
多くの人は、DoingとBeingを対立させる。
「何かをすること」か、
「ただ在ること」か。
でも、違う。
Beingのまま、Doingできる。
在りながら、する
在りながら、する。
何かを成し遂げようとしなくても、
何かは成し遂げられる。
何者かになろうとしなくても、
何者かになっている。
ただ、在る。
そのままで、動く。
結果ではなく、プロセス
Doingには、結果がついてくる。
でも、結果を目的にしない。
プロセスそのものが、目的。
呼吸するように、働く。
呼吸するように、創る。
呼吸するように、繋がる。
結果は、後からついてくる。
Ⅲ. 呼吸としての生活
この本を通して、
僕たちは何度も「呼吸」を見てきた。
深く吸って、ゆっくり吐く。
その呼吸が、生活になる。
朝の呼吸
朝、目覚めたとき。
すぐに動き出さない。
ベッドの中で、呼吸する。
深く吸って、ゆっくり吐く。
その呼吸の中で、
「今日という日」と繋がる。
日中の呼吸
日中、忙しいとき。
息が浅くなる。
心が騒がしくなる。
そのとき、呼吸に戻る。
一度、立ち止まる。
深く吸って、ゆっくり吐く。
その呼吸が、静けさを取り戻す。
夜の呼吸
夜、眠る前。
一日を振り返る。
でも、反省はしない。
ただ、呼吸する。
今日あったことを、
呼吸と共に、手放す。
深く吸って、ゆっくり吐く。
そして、眠る。
Ⅳ. 人の中で、静けさを保つ
世界には、人がいる。
人と関わるとき、
静けさは失われやすい。
でも、人の中でも、静けさは保てる。
境界線を保つ
以前、僕たちは「境界線」について見た。
触れ合いながらも、溶け合わない。
共鳴しながらも、同調しない。
その境界線が、静けさを守る。
一人の時間を確保する
そして、一人の時間を確保する。
どれほど親しい人といても、
一人の時間は必要だ。
その時間が、呼吸を取り戻す。
Presenceで在る
そして、Presenceで在る。
何を言うかではなく、
どう在るか。
静かに在るだけで、
場が整う。
それが、あなたの贈り物だ。
Ⅴ. 日常という、聖なる場所
日常は、退屈な場所ではない。
すべてが、聖なる瞬間
皿を洗うこと。
歩くこと。
呼吸すること。
すべてが、聖なる瞬間。
特別なことをする必要はない。
日常の中に、
すでに聖なるものがある。
今、ここ
過去でもなく、未来でもなく。
今、ここ。
この瞬間が、すべて。
この瞬間に、完全に在る。
それが、生きるということ。
体・心・魂、すべてで在る
「マインドフルネス」という言葉には、
いつも少し違和感があった。
マインドを満たすなら、
ボディも満たさなければならない。
そして、ソウルも。
あなたは、
頭だけで生きているわけではない。
この身体、この感覚、そしてこの魂。
それらすべてが、
あなたを <生かしている> 。
だから、本当の静けさとは、
思考を止めることではない。
心・体・魂が、
ひとつの呼吸でつながること。
僕は体が柔らかいとは、到底言えない。
でも、ヨガの先生たちから
「内面がヨギーっぽい」とよく言われる。
それは、体の柔らかさよりも、
心の余白を大切にしているからかもしれない。
静けさの中には、
すべてが共存している。
マインドも、ボディも、ソウルも。
それぞれが呼吸しながら、
ひとつの生命を生きている。
日常の動作の中の叡智
日常の動作の中には、深い叡智がある。
たとえば、家事。
洗濯、料理、掃除。
一見単純な作業の中で、
同時にいくつものことを感じ取り、整えていく。
それは、並行思考であり、抽象化でもある。
つまり、”生きるヨガ”だ。
すべてをバラバラにとらえず、
静けさの中で、
すべてが共存している。
日常そのものが、
瞑想の場であり、
呼吸の場だ。
Ⅵ. 静かな革命
あなたが静けさを保つとき、
世界が変わる。
見えない変化
それは、派手ではない。
目立たない。
ニュースにもならない。
でも、確実に、世界は変わっている。
あなたの静けさが、波紋を生む
あなたが静かに在ると、
周りの人も、静かになる。
あなたが呼吸すると、
周りの人も、呼吸する。
それは、言葉を超えた影響力。
一人から始まる
世界を変えるのは、
大きな声ではない。
静かな呼吸だ。
一人が呼吸する。
その波紋が広がる。
静かな革命は、
そこから始まる。
Ⅶ. 終わりは、始まり
この本の終わりに、
あなたは立っている。
でも、これは終わりではない。
読み終わった後
本を閉じたとき、
何が残るだろうか。
知識?
理解?
いや、違う。
あなたに残っているものを、
ぜひ感じてみてもらいたい。
深く吸って、ゆっくり吐く。
そしてその呼吸の感覚も、きっと残る。
毎日が、始まり
終わりは、始まり。
この本を読み終わることは、
新しい呼吸の始まり。
毎朝、目覚めることが、
新しい呼吸の始まり。
終わりは、ない。
ただ、呼吸が続く。
あなたの旅は、続く
この本は、終わる。
でも、あなたの旅は、続く。
静けさを持って、
世界を生きる旅。
深く吸って、ゆっくり吐く旅。
その旅に、終わりはない。
最後の言葉
深く吸って、ゆっくり吐く。
それだけが、すべて。
この本を通して、
僕たちは長い旅をしてきた。
霧の正体を知り、
内側の地図を手に入れ、
外側との繋がり方を学んだ。
翻訳し、共鳴し、手放した。
そして、言葉にならない領域に、
本当の自分がいることを知った。
でも、最後に残るのは、
難しい理論でも、
複雑な技術でもない。
ただ、在るということ。
深く吸って、ゆっくり吐く。
その呼吸を通して、
自分の内側と外側で、
確かに繋がっている感覚を感じてほしい。
あなたは、内向的かもしれない。
繊細かもしれない。
深く感じすぎるかもしれない。
でも、それはもちろん欠陥ではない。
あなたの呼吸の仕方が、
他の人と違うだけ。
深く吸う人がいれば、
早く吐く人もいる。
どちらも、必要だ。
世界は、色々な呼吸で満ちている。
あなたの呼吸が、その一つ。
静かでも、
遅くても、
それでいい。
あなたの呼吸は、
誰かの呼吸を整える。
あなたの静けさが、
誰かの騒がしさを鎮める。
だから、呼吸し続けてほしい。
あなたのペースで。
あなたのリズムで。
そして、あなたの声を
聞きたい人がきっといる。
世界は、あなたの声を待っている。
深く吸って、ゆっくり吐く。
その呼吸が、あなたを生かす。
その呼吸が、世界を生かす。
この本を閉じた後も、
呼吸は続く。
朝、目覚めたとき。
夜、眠りにつくとき。
誰かと話すとき。
一人でいるとき。
いつも、呼吸がある。
その呼吸に、還ればいい。
始まりは、ここにあった。
呼吸の中に。
そして、これからも、
呼吸の中に、すべてがある。
深く吸って、ゆっくり吐く。
それだけで、十分。
あなたは、もう知っている。
ありがとう。
この旅を、共にしてくれて。
深く吸って、ゆっくり吐く。
それが、またの出会い。
呼吸の中で。
この本を閉じた瞬間、次の呼吸が始まる。
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